*MEMO*
 
玉虫色のIMPRESSION 裏話2022/03/05

玉虫色のIMPRESSION」を読んでくださった方、ありがとうございました。
 以下は、大それた内容ではありませんが、何を思って書いたか等の話になります。

 大きくネタバレを含みます。

 後書きにも書いた通り、作品コンセプトは「感想がバラバラになって、見た人が混乱したら面白そう」です。前作「幸せな毎日を夢見る」で想像より多くの感想が頂けたので、その環境を使って何かできないかと考え、私自身が感想を見てから作品を選んでいるところからの「バラバラだったら面白いかも」という思い付きでした。

「感想って何を書いたらいいか分からないな」って人でも、「ハラハラしました」とか「笑いました」とか、それだけで、後からプレイする人に対する共犯者になれる、という設計です。

 このコンセプトで失敗したなと思ったのは「ゲームの内容を紹介することができない」という点です。概要欄を書く時に気付いて、照真と明里があれこれする話としか書けなくて困りました。作者がきちんと紹介できない作品なんて、遊びたいと思わないですからね。結果的にはそれなりに遊んでもらえて感想も頂けたので、ほっとしています。

 七色のアイコンなどからも分かるかもしれませんが、当初は30分程度の話を7つ入れる予定でした。が、無理でした。そんなに書けない。じゃあ5つ。も、無理でした。4つも届かず、結局3つです。少ない。残ったのはサスペンスとジュブナイル、そしてギャグですね。4つ目は選択肢多めのホラーの予定でした。

 物語全体の統一テーマが「時間や視点の移動」、裏コンセプトが「没にした話の再利用」なので、他にも昔書いた話が残っていればそのまま入れたのですが、ファイルが見当たらないんですよね。紛れ込ませるのにちょうどいい話もあったのですが、残念です。

 ちなみに作品同士で共通する要素を入れていて、キャラ名の他にも、「消えた~」と「はらから~」に共通する包丁や、「消えた~」と「雨の日~」での浮気・不倫などは、それとなく仕込んでいます。

 こちらは前作「幸せな毎日を夢見る」の前に書いていた話です。どんでん返しを書こうとしていたのですが、これはどうやっても明るく終わることができないぞ、と凍結していたものです。これを改修して出したところで「またかよ!」となるだけなので、こうして紛れ込ませました。

 この話の元ネタは「タイム・リープ あしたはきのう」という小説です。これは、主人公の時間軸がある日突然に乱れて、その謎を探っていくというお話です。これの面白いところは「自由に時間移動ができず、スキップした時間を一度通過することしかできない」という点で、ここはそのまま拝借して組み込みました。そこに乙一氏の「ZOO」のような、自分の罪を認めたくなくて歪んだ、というテイストを混ぜたものになります。

 また「警察が余計なことを喋りすぎ」とか「たった一日で逮捕状が出るわけない」とか、この辺りが目立った嘘ですね。ピーコートのくだりは無理やり感があるかな、なども思いますが、他にも実際に読んだ方がどのように感じられてるのかは知りたいところでもあります。動機もややこしいですしね。

 ちなみにタイトルは、消えたのが昨日なのか犯人なのか、両方に取れるようにしています。

 こちらは「ヤンデレの女の子に愛されて喜ぶ主人公の話」を書こうとして頓挫したものの再利用です。ストーカーされても束縛されても変なものを食わされても喜ぶ主人公! みたいなコメディの予定でしたが、大して笑えるものにならなかったので、その辺りをバッサリと削ったのちに、女の子のほうを掘り下げる物語として仕立て上げました。アトラスのくだりはその時の名残ですが、自分でも滑っているとは思っています。

 この話は昔書いた「私の嫌いな名前があった」で表現しきれなかったテーマを改めて書き直したものになります。学習性無力感やら、生きることへの罪悪感やら、普通であれば持つ必要のない苦痛、そしてそこから脱却される主人公です。同じように苦しむ人にとって、少しでも助けになれば幸いに思います。

 本編での後書きにも書きましたが、自殺とか人の生き死にを扱うなら、そこに至る思考や感情もしっかりと書いてくれ、と思いながら書きました。つらいから死ぬ、とか、そんな短絡的なものじゃないはず。生きることを望めないことが問題だと思っているので。

 読んでくださった方の中には気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、彼女の過去はほぼ実話になります。ただ、どうすれば救われるのかが分からず、終盤は非常に苦労しました。上記の思いもあって、嘘が書けませんからね。

 こちらは後書きにもある通り「昔作ったけどパソコンが壊れて消滅したシルエットギャグ」です。細かな文章にこだわる必要がないので、再現しつつ新装しました。

 出だしは硬い文章から始めて「雨の後は虹も出る」と見せかけて「タケノコ」。ここで「あれ?」となってもらってからの本編、という計算で書きました。というか、ギャグって書く時、めちゃくちゃ計算しますよね。車に轢かれた時の、忘れた頃の「私は痛くない!」とか、フンと跳び蹴りを印象付けてからの「フンだり蹴ったり」とか。

 ちなみに自分で一番好きなネタは「僕、お父さん2人いるよ?」です。複雑な家庭やめろ。
 短い話ではありますが、画像や効果音の選定には想像以上に時間が掛かった覚えがあります。